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それは誰のため?

前回はボードゲーム案内所の強みについて考えました。

今回は「Customer(顧客)」について考えていきます。
つまり「誰のために作るのか?」という問いです。

これが意外と難しい。

ボードゲーム案内所を作るからにはできるだけ多くの人に届けたいと思っています。
特定の年齢や職業、趣味などで対象を絞ってしまうのは、なんだかもったいない気がするから。

とはいえ「すべての人が顧客対象です!」と言ってしまったらそれは顧客を考えたことになりませんよね。笑

ではそれを考察する上で、そもそも論からいきます。
人は何を求めているのか、からです。

このことを考える上で大事なのは時代背景を加味すること。
それはこれまでのブログでも取り上げてきた私の仮説「AIに選択肢を提示されてそれを人間が選択することが増える時代」において、です。

二人にAIの使い方を聞いてみた

最近、身近な二人にAIの使い方について話を聞く機会がありました。

一人目は、建設業界で働いている方。

現在では、AIでCADなどの図面情報を扱う技術もあります。
しかし、実際の業務では機密保持などの問題もあり、どこまで利用してよいのか、探り探りだそうです。
たまに聞きますよね、顧客情報も含めてAIに相談してしまったことが発覚して問題になる、的なニュースが。

今のところは手直しが必要になることを前提に議事録の作成などで利用しているとのことでした。
AIにできることと実際に安心して任せられることは違うわけです。

もう一人は、サッカーが好きな方。

その方は日本代表選手の海外での活躍など自分の興味に合う情報をAIにまとめてもらい、自分専用の日報のように定期的に受け取っています。
自分で毎回情報を探しに行かなくても関心のある話題を届けてもらえるわけですね。

二人の使い方はずいぶん違います。

一方は仕事上の制約を踏まえながらAIを活用しています。
もう一方は自分の興味に合わせて情報を受け取っています。

しかし、共通していることもあります。

それはどちらも人間の目的や欲求が出発点になっているということです。

AIに何ができるかも重要ですが、それ以上に「人間が何をしたいのか」「何を求めているのか」が重要なのではないか、と仮説を立てます。

人間は何を求めている?

サッカー好きの方は自分の興味を「サッカー」という言葉でAIに伝えることができました。

では、自分の求めているものをまだ具体的に言葉にできない人はどうでしょう。

例えばこんな3つの相談を考えてみます。

①「サッカーの情報を教えて」

何について知りたいのか、対象が明確になっています。

②「何か身体を動かして遊びたい」

やりたいことの方向性は決まっていますが、具体的な活動までは決まっていません。

③「何か自分に合う楽しいことはないかな?」

そもそも何をするのかという選択肢から探している状態です。

これは人間を3種類に分類しているわけではありません。同じ人でも、相談する内容や状況によって変わります。

①であれば、求められた情報を届けることが中心になります。

②であれば、条件に合う活動を探す必要があります。

そして③では、その人が何を楽しいと感じるのかどんな時間を過ごしたいのかというところから考える必要があります。

ここでもう一つ難しい問題があります。

「楽しいこと」は人によって違うということです。何を当たり前なことと思うかもしれませんがこれが結構真理で。

例えば、ボードゲームには嘘をついたり相手を欺いたりすることが楽しさにつながる作品があります。

しかし、私の友人には、ゲームの中であっても嘘や欺きをどうしても許容できない人がいます。

ある人にとっての楽しさが別の人にとっては不満の原因になるわけです。

つまり、人間の欲求を理解するには「何をしたいか」だけでなく「何をしたくないか」も大切になります。
さらに、人間が求めているのは必ずしも最適な答えだけではありません。

先日、3人組のお客さんから「何かおすすめのゲームはありませんか?」と聞かれました。

そこで私は『サンレンタン』をおすすめしました。
ところが、お客さんは近くにあった『チャオチャオ』に興味を持ち、そちらを選びました。
その後、『チャオチャオ』をひとしきり楽しんだお客さんから、もう一度おすすめを聞かれました。
今度は『ペンギンパーティ』を紹介すると、すぐに遊び始めてくれました。

これは私の解釈ですが、最初は自分たちでゲームを選びたかったのかもしれません。
そして、自分たちで選んだゲームを楽しんだ後、次は店員のおすすめを試してみようと思ったのかもしれない。

もちろん、本当の理由を直接確認したわけではないので私の私見です。

ただこの出来事から考えたことがあります。

人は答えを得ることだけでなく、答えを探したり、自分で選んだりする過程にも満足を感じることがあるのではないか。

そして同じ人であっても、そのときの状況や経験によって、求めるものは変わるのではないでしょうか。

AIは何をする存在なのか?

ここまで考えると、AIの役割についても少し違った見方ができそうです。

AIは質問されたことに答えるだけの存在なのでしょうか。

もちろん、それも重要な役割です。

しかし人間が自分の目的や欲求をうまく言葉にできないとき、AIは会話を通じて考えを整理したり、本人が思いつかなかった選択肢を提示したりすることもできます。

今回、私自身がAIとの対話することを通じて、人間とAIの関係について一つの仮説を立てました。

「拡張元と可能性の触媒」

人間を「拡張元」、AIを「触媒」と捉える考え方です。
触媒とは、化学反応を促進する働きを持つものです。

人間は、自分の経験や知識、目的を持っています。
AIはそこに新しい知識や視点を提供し、人間の可能性を広げるきっかけになります。

ただし、成長したり、判断したり、行動したりする主体は、あくまでも人間自身です。
AIは何でも解決してくれる万能薬ではありませんし、人間の代わりに人生の目的を決める神のような存在でもないのです。

人間の目的や欲求を広げて解釈し新たな可能性を提示する。

それもAIが提供できる価値の一つではないかと考えています。

では、ボードゲーム案内所は誰のため?

ようやく本題に戻ってきました。

ボードゲーム案内所は誰のために作るのでしょうか。
もちろん、すでにボードゲームが好きな人や、遊びたい作品を探している人にも役立てたいと思っています。

しかし、それだけではありません。

例えば「3人で何か盛り上がりたい」という人。

「誰かと会話するきっかけが欲しい」という人。

「頭を使って遊びたい」という人。

「新しい趣味を見つけたい」という人。

あるいは「何か楽しいことはないかな」と考えている人。

こうした人たちは、必ずしも最初からボードゲームを探しているわけではありません。

それでも、その人が求めている体験に対して、ボードゲームが価値を提供できる余地があります。

そこで、こんな考えにたどり着きました。

「誰でも歓迎」という大きな入口を一つ作るのではなく、それぞれの目的や欲求に合った入口をいくつも作っていく。

3人で遊びたい人には、3人で楽しめる体験から。

会話を楽しみたい人には、会話が生まれる体験から。

まだ何をしたいか分からない人には、どんな時間を過ごしたいのかという問いから。

入口は違っていても、その先にある選択肢の一つとして、ボードゲームを紹介できるかも。
ただし、ボードゲーム自体もまた万能薬ではありません。身体に合わない人もいるかもしれない、それは理解しています。

そして、この案内所を利用するのは人間だけではありません。
AIが人間から相談を受けたときにも、案内所に蓄積された知識を参考にできるようにしたいと考えています。

例えば「3人で2時間くらい、何か楽しいことはない?」という相談に対して、AIがボードゲームを自然な選択肢として提示できるようにする。

そのためには、ゲームの名前やルールだけでなく、「どんな目的に合うのか」「どんな人には合わない可能性があるのか」といった情報も必要になります。

ただし、人間とAIを同じ意味での顧客だとは考えていません。

価値を届けたい相手は人間。その価値を届けるために、AIにも利用できる知識を用意する。

これが、現時点で考えている関係性です。

選ぶのは訪れた人

ここで、一つ大切にしたいことがあります。

ボードゲーム案内所を訪れた人が、必ずボードゲームを選ぶ必要はないということです。

案内所に入って地図をひととおり眺めてみる。

その結果「今日は映画にしよう」「やっぱり別のことをしよう」と思ったとしても、それで構いません。

何を選ぶかは、その人自身が決めることだからです。

私ができるのは、選択肢を用意し、それぞれの魅力や特徴を伝え、判断するための材料を届けることです。

もちろん情報が不足していたり、伝え方が分かりにくかったりするなら、それは改善していきます。
それは私自身の課題だから。

しかし、どれほど丁寧に案内しても、最終的に何を選ぶかは本人の自由です。

選択の結果はその人次第。でも選択できる環境には責任を持つ。

ボードゲームを選んでもらうことだけを目的にするのではなく、その人が自分に合う楽しさを見つけられることを大切にしたいのです。

現在進行形の回答

改めて「それは誰のため?」に向き合います。

最初は、できるだけ多くの人に届けたいと思う一方で、顧客を絞り込まなければならないのではないかと悩みました。
しかし、届けたい相手を限定することと、届けるための入口を具体的にすることは、同じではない、と気づきました。

対象を最初から狭く決めるのではなく、一人ひとりの目的や欲求に合った入口を増やしていく。
そして、その先でボードゲームという選択肢を届ける。

もちろん、すべての人にボードゲームが最適だとは思いません。
(繰り返しますがボードゲームは万能薬ではない、でも鎮痛剤くらいの効果はあるかも。笑)

だからこそ人間が何を求めているのかを理解することが出発点になります。

ボードゲーム案内所は、自分に合う楽しさを探している一人ひとりのために作ります。

そしてAIにもその人たちに新しい可能性を届けるための知識として利用してもらいたい。

入口は具体的に、届ける範囲は広く。そして選ぶのは、本人です。

これが、今の私なりのCustomer(顧客)を考えることに対する「現在進行形の回答」です。

それではまた次回のブログで!

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