どこから入ればいい?
こんにちは!ボードゲームカフェONE、店長の左近(さこん)です。
突然ですが、ボードゲームカフェONEで一番多くいただく質問は何だと思いますか?
「おすすめのボードゲームは何ですか?」
「初心者でも遊べますか?」
いいえ、違います。
正解は……
「どこから入ればいいんですか?」
です。笑
そうなんです。このお電話を頂くことがとにかく多い。。。
ONEはお店の入口が分かりづらいんです( ;∀;)
「なんでそんな場所にお店を?」という答え辛い質問はスルーします。笑
当店の岩田オーナーの言葉を借りるなら「来店いただくことから既にボードゲームが始まっています」とのこと。
上記の賛否はともかく。
せっかくお店を用意して、たくさんのボードゲームを揃えても、入口が分からなければ入ってもらえません。
実はこれ、今取り組んでいる「ボードゲーム案内所」にも通じる問題なんです。
情報にも入口が必要
前回の記事「私に関係あるの?」
では、概念的入口について考えました。
概念的入口とは『本人がすでに持っている目的や関心とボードゲームが提供できる価値との接点』です。
例えば「友達ともっと仲良くなりたい」という人にとって、ボードゲームがその目的を実現する選択肢の一つになることを伝える。
これが概念的入口です。
しかし、ここで新しい問題が生まれます。
そもそも、その情報をどうやって知ってもらうのか?
ONEの入口を尋ねてくれるお客さんは、すでにONEの存在を知っていて来店しようとしています。
一方、ボードゲーム案内所が情報を届けたい相手には、そもそもボードゲームを探していない人も含まれます。
そうした人に、どれほど役立つ情報を用意しても、出会ってもらえなければ選択肢にはなりません。
そこで必要になるのが物理的入口です。
物理的入口とは『本人の目的や関心につながる情報に実際に出会うための場所や経路』
検索、SNS、友人との会話、AIとの対話など、情報との出会い方はさまざまです。
では、どこに入口を用意すればいいのでしょうか?
人はどこで情報と出会うのか?
この問いを考えるために、人間の情報行動について外部調査を行いました。
調べたのは人は自分に必要な情報を、どこで、どのように探し、あるいは偶然発見するのか? ということです。
今回の調査では、11件の一次研究を中心に、人間の情報探索や偶然の発見、情報の選択などを整理しました。
(ここではAI君の情報収集・分析能力をまざまざと見せつけられました。。。凄いはホント。笑)
その中から、ボードゲーム案内所にとって重要だと考えた発見を3つ紹介します。
①人は探していない情報にも出会う
人は、知りたいことがあるときに検索するだけではありません。
情報を何となく眺めたり、別のことをしている途中で気になる情報を発見したり、誰かから教えてもらったりします。
こうした情報の得方は、実際の研究でも報告されています。
これは、ボードゲーム案内所にとって重要な発見です。
なぜなら、私たちが届けたいのは、すでにボードゲームを探している人だけではないからです。
「休日に何をしようかな?」
「友達と何か面白いことをしたいな」
そんなことを考えている人が、ボードゲームという選択肢に出会う。
そのためには、ボードゲームの情報を検索する人だけを待っていては足りません。
②情報に出会ってもすぐに行動するとは限らない
自分に関係のある情報を見つけても、その場で詳しく調べるとは限りません。
別の作業をしていたり、今すぐ必要な情報ではなかったりするからです。
これも情報との偶然の出会いを調べた研究で報告されています。
例えば、SNSで「友達といつもと違う時間を過ごす方法」を見かけたとします。
面白そうだと思っても、その場で予定を立てるとは限りません。
しかし、後日友達と遊ぶことになったとき、その情報を思い出すことは考えられます。
つまり情報に出会った瞬間だけでなくその後のことも考える必要があるということです。
ただし、どんな方法なら後から思い出してもらえるのかは、今回の研究だけでは分かりません。
ここは今後の検証課題です。
③情報が届くことと選択肢になることは違う
これも重要な点です。
例えば、Xに投稿した情報が1万回表示されたとします。
それは嬉しいことですが、表示されたという事実だけでは、次のことは分かりません。
その情報に気づいてもらえたのか。
自分に関係があると感じてもらえたのか。
実際にボードゲームを遊びの選択肢に加えてもらえたのか。
今回の調査でも、情報への接触と、その後の理解や選択は区別して考える必要があると整理できました。
たくさんの人に情報を見てもらうことは、目的ではなく、その目的に近づくための手段です。
ボードゲーム案内所が目指しているのは、単に情報を広めることではなく、本人が実現したいことに対してボードゲームが選択肢の一つになることです。
なお、今回の外部調査は、ボードゲームの利用者を直接調べたものではありません。
ただ、そこから導き出される仮説を元に今回のプロジェクトで何を試すべきかを考えることはできます。
では、何をする?
ここまで調べて分かったのは情報を用意するだけでなく、人が情報とどこで出会い、その情報をどう受け止めるのかまで考える必要があるということです。
とはいえ、調査だけしていても入口は勝手には増えませんよね。
AI君がひとりでに自動で増やしてくれればいいのですが。笑
冗談はさておき。
まずは今自分が試せる環境を活かして、3つの取り組みを進めることにしました。
①お店で質問・観察する
何から始めればいい?
の延長です。
ONEには、毎日さまざまなお客さんが来店します。
その人たちは、どこでボードゲームを知ったのでしょうか?
なぜ、数ある遊びの中からボードゲームを選んだのでしょうか?
こうした質問や観察を、日々の接客の中で記録していきます。
約7年半の接客経験で得た知識はありますが、これまでは体系的に記録してきたわけではありません。
今後は、実際に起きたことと、そこから考えたことを区別しながら蓄積していきます。
②SNSで発信の切り口を比較する
同じボードゲームでも、紹介の仕方は一つではありません。
例えば、
「このボードゲームは、こんなところが面白い!」
という紹介と、
「友達といつもと違う時間を過ごしたいなら?」
という紹介。
前者はボードゲームそのものが入口です。
後者は、人間の目的や関心が入口です。
どちらが、どんな人の関心につながるのか。
今後、新しい記事を主にX(旧Twitter)で発信する際に、切り口を比較していきます。
もちろん表示数や「いいね」の数だけで、ボードゲームが選択肢に入ったとは判断できません。
まずは、どんな切り口にどんな反応があるのかを観察するところから始めます。
③新しい記事の構成を改善する
せっかく記事にたどり着いても、読者が「これは自分に関係がある情報なのか?」と判断できなければ、必要な情報を見逃してしまいます。
そこで、新しく記事を作る際には、誰に役立つ情報なのか、どんな場合には向かないのかを、早い段階で伝えることを意識します。
いわゆる「離脱を防ぐ」ってやつですね。Youtuberさんたちがよく言うやつ。笑
ただし、すべての記事を同じ形式にするわけではありませんよ。
記事には、それぞれの役割がありますからね。
例えば、今読んでいるこの記事は早速その構成にはなっておらず、ONEの入口の話から始めています。笑
読者が読み進める楽しさも大切にしながら、必要な判断材料を届けられる構成を考えていきます。
既存の記事についても、一斉に修正するのではなく、必要が見つかったものから対応します。
入口を作るだけでは足りない
ONEには、入口が分からなくても、わざわざ電話で尋ねてくれるお客さんがいます。
本当にありがたいことです。
でも、ボードゲーム案内所が情報を届けたい相手には、まだ入口を探そうともしていない人がいます。
ボードゲームの存在を知らない人。
知っていても、遊びの選択肢として思い浮かばない人。
そんな人たちに、どうすればボードゲームという選択肢を届けられるのか。
そのためには、情報を用意するだけでなく、人々が実際に出会える入口を考える必要があります。
これからは、お店での観察、SNSでの発信、記事の改善を通じて、少しずつ試していきます。
「何を伝えるか」だけでなく「どこで出会ってもらうか」。
ボードゲーム案内所づくりは、まだまだ続きます。
……ちなみに、ONEにご来店の際は、入口が分からなかったら遠慮なくお問い合わせください(^_-)-☆
それではまた次回のブログで!
参考資料
今回の記事では、以下の研究などを参考にしています。
- McKenzie(2003):日常生活における情報取得の多様な方法
- Erdelez(2004):別の活動中に起こる情報との偶然の出会い
- Bakshy, Messing & Adamic(2015):情報への潜在的接触・表示・クリックの区別
研究の対象や方法にはそれぞれ限界があり、ボードゲーム案内所での具体的な効果を直接証明するものではありません。
1人で来れるボードゲームカフェONE
豊島区西池袋1-41-8 6F
店長 さこん
十佐近将典(じゅうさこんまさのり)
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